子どもが突然、吐いたり下痢をしたりすると、
「胃腸炎かな?」
と心配になりますよね。
感染性胃腸炎には、ウイルスによるものだけでなく、細菌によるものもあります。
代表的なものには、ウイルス性ではノロウイルスやロタウイルス、細菌性ではカンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌などがあります。
この記事では、子どもに多い胃腸炎について、
- 細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎の違い
- どんな症状が出やすい?
- どうやって感染する?
- 受診の目安
- 保育園ではどう考える?
- 家庭でできる感染対策
を、保育園看護師の視点から分かりやすくまとめます。
※症状だけで細菌性・ウイルス性を確実に見分けることはできません。強い症状がある場合や心配な場合は、医療機関を受診しましょう。
まずは簡単に比較!細菌性とウイルス性の違い
細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎は、どちらも嘔吐や下痢などを起こします。
大きな違いは、原因となる病原体が「細菌」なのか「ウイルス」なのかという点です。
| 細菌性胃腸炎 | ウイルス性胃腸炎 | |
|---|---|---|
| 原因 | 細菌 | ウイルス |
| 代表例 | カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌など | ノロウイルス、ロタウイルスなど |
| 主な症状 | 下痢、腹痛、発熱など | 嘔吐、下痢、腹痛、発熱など |
| 血便 | 原因によってみられる | 一般的ではない |
| 感染経路 | 食品、飲料水、便など | 便・吐物、食品など |
| 家族内感染 | 起こる | 特に起こりやすい |
| 注意したいこと | 高熱・血便・強い腹痛など | 嘔吐・下痢による脱水 |
ただし、これはあくまで一般的な傾向です。
「この症状だから細菌」「この症状だからウイルス」と、症状だけで判断することはできません。
細菌性胃腸炎とは?
細菌性胃腸炎は、細菌が原因となって起こる胃腸炎です。
代表的な原因菌には、
- カンピロバクター
- サルモネラ
- 腸管出血性大腸菌
- 腸炎ビブリオ
- 黄色ブドウ球菌
などがあります。
食べ物を介して感染するものも多く、厚生労働省では細菌性食中毒の予防として、
「つけない・増やさない・やっつける」
という3原則を示しています。
こんな症状に注意
細菌の種類によって症状は異なりますが、
- 下痢
- 腹痛
- 発熱
- 吐き気・嘔吐
- 血便
などがみられることがあります。
特に、血便、強い腹痛、高熱などがある場合は注意が必要です。
ウイルス性胃腸炎とは?
ウイルス性胃腸炎は、ウイルスが原因となって起こる胃腸炎です。
子どもに身近なものとして、
- ノロウイルス
- ロタウイルス
- 腸管アデノウイルス
などがあります。
ノロウイルス
ノロウイルスでは、
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
などが主な症状です。
発熱はあっても軽度であることが多く、通常は1~2日程度で症状が治まります。
ただし、子どもでは嘔吐や下痢が続くことで脱水に注意が必要です。
また、ノロウイルスは感染力が強く、便や吐物などを介して家庭内や集団生活の場で感染が広がることがあります。
ロタウイルス
ロタウイルスは乳幼児に多い胃腸炎です。
- 水のような下痢(白色便を伴うことがある)
- 嘔吐
- 発熱
- 腹痛
などがみられます。
特に乳幼児では脱水が重症化しやすいため注意が必要です。
細菌性とウイルス性、症状だけで見分けられる?
結論からいうと、
症状だけで完全に見分けることはできません。
例えば、
「嘔吐があるからウイルス」
「発熱が高いから細菌」
「下痢だけだから細菌」
というように、症状だけで原因を決めることはできません。
原因となる病原体によって症状には違いがありますが、重なる部分も多いためです。
では、何を見ればいい?
家庭では病原体を当てることよりも、
「子どもの状態が悪くなっていないか」
を見ることが大切です。
特に確認したいのは、
- 水分がとれているか
- おしっこが出ているか
- 顔色や元気はどうか
- 嘔吐を繰り返していないか
- 下痢が続いていないか
- 血便がないか
- 強い腹痛がないか
などです。
細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎の違い

感染経路にも違いがある
細菌性胃腸炎
細菌性の場合、食品を介した感染がよく知られています。
例えば、
- 加熱が不十分な肉
- 汚染された食品
- 調理時の衛生管理不足
などが原因となることがあります。
細菌性食中毒の予防では、食品に細菌を「つけない」、細菌を「増やさない」、細菌を「やっつける」ことが基本です。
ウイルス性胃腸炎
ウイルス性では、感染した人の便や吐物を介して感染が広がることがあります。
特にノロウイルスは感染力が強く、
「一人が吐いたあと、家族にも次々うつった」
ということもあります。
家庭だけでなく、保育園や学校など、子どもが集団生活をする場所でも注意が必要です。
子どもの胃腸炎で一番気をつけたいのは「脱水」
細菌性・ウイルス性にかかわらず、子どもの胃腸炎で注意したいのが脱水です。
嘔吐や下痢が続くと、体から水分や電解質が失われます。
特に乳幼児は体に蓄えられている水分が少ないため、脱水が進みやすいとされています。

こんな様子があれば注意
- 水分がほとんどとれない
- 飲んでもすぐ吐いてしまう
- おしっこの回数が明らかに少ない
- 口や唇が乾いている
- ぐったりしている
- 顔色が悪い
- 泣いても涙が少ない
など。
「下痢の回数」だけではなく、全身状態を見ることが大切です。
こんなときは早めに受診を
胃腸炎かなと思っても、次のような場合は早めに医療機関へ相談しましょう。
- 水分がとれない
- 繰り返し吐いている
- おしっこが極端に少ない
- ぐったりしている
- 血便がある
- 強い腹痛がある
- 高熱が続く
- 意識がおかしい、反応が悪い
- けいれんがある
- 乳幼児で症状が強い
特に、血便や強い腹痛、意識状態の変化などは「よくある胃腸炎」と自己判断しないことが大切です。
家庭ではどう対応する?
胃腸炎のときは、まず脱水を防ぐことが大切です。
一度にたくさん飲ませるのではなく、吐いてしまう場合には、少量ずつ様子を見ながら水分を与える方法があります。
食事についても、無理に食べさせる必要はありません。
子どもの状態や年齢によって対応は異なるため、心配な場合は医療機関へ相談しましょう。
家族への感染を防ぐために
胃腸炎では、子どもだけでなく家族への感染にも注意が必要です。
特に嘔吐物や便の処理をするときには、
- 素手で触らない
- 手袋を使用する
- 汚染された場所を適切に処理する
- 処理後は手洗いをする
- タオルなどを共用しない
などの対策を行います。
ノロウイルスでは、便や吐物を介した感染が重要なため、適切な処理と手洗いが大切です。
保育園ではどう考える?
胃腸炎の場合、
「下痢が1回あった=すぐ登園できない」
「吐いたけど元気=大丈夫」
と単純には判断できません。
原因となる病原体や子どもの状態、園のルールによって対応が異なります。
また、感染性胃腸炎には細菌性・ウイルス性などさまざまな原因があるため、医師の診断を受けた場合には、病名や登園についての指示を園に伝えることが大切です。
特に、腸管出血性大腸菌など、原因によっては集団生活への対応が重要になるものもあります。
登園については、園のルールや医師の指示を確認しましょう。
胃腸炎になったときのチェックポイント

細菌性・ウイルス性にかかわらず大切なこと
細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎には違いがあります。
でも、家庭で子どもの様子を見るときに大切なのは、
「どっちの胃腸炎だろう?」と考えすぎることではありません。
それよりも、
「水分はとれているかな?」
「おしっこは出ているかな?」
「元気はあるかな?」
と、子どもの全身状態を見ることが大切です。
そして、血便や強い腹痛、脱水が疑われる場合などは、早めに医療機関へ相談しましょう。
まとめ
細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎は、どちらも嘔吐や下痢などの症状を起こします。
ポイントをおさらい
- 感染性胃腸炎には細菌性とウイルス性がある
- 細菌性にはカンピロバクター、サルモネラなどがある
- ウイルス性にはノロウイルス、ロタウイルスなどがある
- 症状だけで原因を完全に見分けることはできない
- 子どもでは脱水に注意する
- 血便・強い腹痛・ぐったりなどがある場合は早めに受診する
- 胃腸炎では家庭内感染にも注意する
- 登園については園のルールや医師の指示を確認する
「嘔吐や下痢がある=ただの胃腸炎」と思わず、子どもの水分状態や元気・顔色などをしっかり観察することが大切です。
この記事が、子どもの胃腸炎で「どうしたらいい?」と迷ったときの参考になれば幸いです。
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を行うものではありません。症状が強い場合や心配な場合は、医療機関に相談してください。
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